《訪問:2018年11月》
「長崎・天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録を記念し、東京国立博物館で、館蔵のキリシタン関連遺品が特集展示されています。
かつて、長崎奉行所がキリシタンから没収した信仰に関わる遺品と、弾圧に使った踏絵など。
一括して、重要文化財に指定されているみたいですね。
ご紹介するのは、全て長崎奉行所収蔵品で重要文化財です。
まず。信仰に関わる遺品。
象牙製のキリスト像。
腕の部分は取り外し出来るようになっていて、持ち運びしやすくなっています。
象牙製なので、ポルトガルの東方貿易の拠点だったインドのゴアで作られた可能性が高いそうです。
聖アントニウス像。
ポルトガル出身の聖人で、川に向かって説教すると魚が聞き入ったと言われます。
幼子イエスを抱く姿やユリを持つ姿で表されます。
「エッケ・ホモ」の銅牌。
右がヨーロッパ製で、左はそれをかたどって日本で鋳造したと思われます。
鋳造に失敗し、顔も少し潰れてしまったけど、大切に持っていたんでしょう。
マリア観音。
中国の徳化窯製。
マリア観音が中国で焼かれたものだって、初めて知りました。
そして、弾圧に使われた品々。
まずは、板踏絵。
図柄は、「無原罪の聖母」。
キリシタン摘発のため、最初は画像を踏ませていたそうです。
当然、すぐに壊れてしまうため、1630年頃から、信者から没収した銅牌を板に埋め込んだ板踏絵が使われるようになったそうです。
そして、聖母子像の真鍮踏絵。
真鍮踏絵が使われるようになったのは、1670年以降。
寛文9(1669)年に、九州の諸藩からの貸し出し要請に応えるため、20面作られました。
踏絵と言えば、これのイメージですが、禁教になってから随分時間が経ってからのものなんですね。
長崎では、全ての領民を正月に集めて行う年中行事となり、市が出て賑わうようなものだったそうです。
真鍮踏絵は長崎奉行所の注文で作られました。
そのため、元々、信仰の対象のものでは無く、信者の苦痛は板踏絵より軽減されたんだとか。
東京国立博物館の常設展示は、館蔵品は全て、その他も所有者の了承が得られたものは、全て撮影可能です。
同じ国立博物館でも、九州国立博物館は、ほとんど撮影不可。
不思議です。
「長崎・天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の地域でも、例えば平戸市は全て撮影可ですが、五島市は撮影不可。
SNSなどでの拡散で、それを見に来る人もいるでしょうにね。
ところでこれらの品々、展示される機会はそう多くないように思います。
例えば、長崎県が借り受けて常設展示するとか出来ないんですかね?